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@ 78b3c1ed:5033eea9
2025-05-07 08:23:24各ノードにポリシーがある理由 → ノードの資源(CPU、帯域、メモリ)を守り、無駄な処理を避けるため
なぜポリシーがコンセンサスルールより厳しいか 1.資源の節約 コンセンサスルールは「最終的に有効かどうか」の基準だが、全トランザクションをいちいち検証して中継すると資源が枯渇する。 ポリシーで「最初から弾く」仕組みが必要。
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ネットワーク健全性の維持 手数料が低い、複雑すぎる、標準でないスクリプトのトランザクションが大量に流れると、全体のネットワークが重くなる。 これを防ぐためにノードは独自のポリシーで中継制限。
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開発の柔軟性 ポリシーはソフトウェアアップデートで柔軟に変えられるが、コンセンサスルールは変えるとハードフォークの危険がある。 ポリシーを厳しくすることで、安全に新しい制限を試すことができる。
標準ポリシーの意味は何か? ノードオペレーターは自分でbitcoindの設定やコードを書き換えて独自のポリシーを使える。 理論上ポリシーは「任意」で、標準ポリシー(Bitcoin Coreが提供するポリシー)は単なるデフォルト値。 ただし、標準ポリシーには以下の大事な意味がある。
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ネットワークの互換性を保つ基準 みんなが全く自由なポリシーを使うとトランザクションの伝播効率が落ちる。 標準ポリシーは「大多数のノードに中継される最小基準」を提供し、それを守ればネットワークに流せるという共通の期待値になる。
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開発・サービスの指針 ウォレット開発者やサービス提供者(取引所・支払いサービスなど)は、「標準ポリシーに準拠したトランザクションを作れば十分」という前提で開発できる。 もし標準がなければ全ノードの個別ポリシーを調査しないと流れるトランザクションを作れなくなる。
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コミュニティの合意形成の場 標準ポリシーはBitcoin Coreの開発・議論で決まる。ここで新しい制限や緩和を入れれば、まずポリシーレベルで試せる。 問題がなければ、将来のコンセンサスルールに昇格させる議論の土台になる。
つまりデフォルトだけど重要。 確かに標準ポリシーは技術的には「デフォルト値」にすぎないが、実際にはネットワークの安定・互換性・開発指針の柱として重要な役割を果たす。
ビットコインノードにおける「無駄な処理」というのは、主に次のようなものを指す。 1. 承認される見込みのないトランザクションの検証 例: 手数料が極端に低く、マイナーが絶対にブロックに入れないようなトランザクション → これをいちいち署名検証したり、メモリプールに載せるのはCPU・RAMの無駄。
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明らかに標準外のスクリプトや形式の検証 例: 極端に複雑・非標準なスクリプト(non-standard script) → コンセンサス的には有効だが、ネットワークの他ノードが中継しないため、無駄な伝播になる。
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スパム的な大量トランザクションの処理 例: 攻撃者が極小手数料のトランザクションを大量に送り、メモリプールを膨張させる場合 → メモリやディスクI/O、帯域の消費が無駄になる。
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明らかに無効なブロックの詳細検証 例: サイズが大きすぎるブロック、難易度条件を満たさないブロック → 早期に弾かないと、全トランザクション検証や署名検証で計算資源を浪費する。
これらの無駄な処理は、ノードの CPU時間・メモリ・ディスクI/O・帯域 を消耗させ、最悪の場合は DoS攻撃(サービス妨害攻撃) に悪用される。 そこでポリシーによって、最初の受信段階、または中継段階でそもそも検証・保存・転送しないように制限する。 まとめると、「無駄な処理」とはネットワークの大勢に受け入れられず、ブロックに取り込まれないトランザクションやブロックにノード資源を使うこと。
無駄な処理かどうかは、単に「ポリシーで禁止されているか」で決まるわけではない。
本質的には次の2つで判断される 1. ノードの資源(CPU、メモリ、帯域、ディスク)を過剰に使うか 2. 他のノード・ネットワーク・マイナーに受け入れられる見込みがあるか
将来のBitcoin CoreのバージョンでOP_RETURNの出力数制限やデータサイズ制限が撤廃されたとする。 この場合標準ポリシー的には通るので、中継・保存されやすくなる。 しかし、他のノードやマイナーが追随しなければ意味がない。大量に流せばやはりDoS・スパム扱いされ、無駄な資源消費になる。
最終的には、ネットワーク全体の運用実態。 標準ポリシーの撤廃だけでは、「無駄な処理ではない」とは断定できない。 実質的な「無駄な処理」の判定は、技術的制約+経済的・運用的現実のセットで決まる。
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